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【ずずの奇妙な冒険】第22回  僕は家に帰る

【ずずの奇妙な冒険】第22回  僕は家に帰る
2008年8月26日配信



僕は家に帰る。

帰るべき家、東京近郊にある住宅地。駅から徒歩15分。貧相なアパー
トがならぶその一角で、立ち止まり、見慣れたアパートへ入っていく。20
1号室のドアの前で、擦り切れたカギを入れて、それを半回転回す。

ドアを開ける。電気がついている。しかしその部屋には、誰もいない。

「なぜ電気を消さないの?無駄でしょ」誰かがそう言うかもしれない。

軽い防犯対策なんだよ。考えもせずに、そう答える。

「防犯対策に重さは関係ないわ」少し考えてこう答える。

精神の問題なんだ。気休めというやつだよ。その気休めの程度を言って
いるだけなんだ。

実際に防犯に役立っているかどうかはわからない。

「そういう無駄なエネルギーが地球の温暖化に影響を与えているのよ」
やれやれ、最近は何かにつけて温暖化を唱える人が増えたようだ。ここ
にもいたとはね。

僕は、クリスマスツリーは飾らないし、自動車にも乗らない。(第一、免
許をもっていないんだ)

「クリスマスツリーは関係ないんじゃない、自動車くらい乗れた方がいい
わよ、今時は」

クリスマスツリーの話は余計だったね。それは聴かなかったことにしてく
れよ。

けどね。自動車については、ひとつ僕なりの言い分があるんだ。

聴くかい。

「とりあえず、部屋に入ったら」

そう、ここは僕の部屋だ。言われなくても入るさ。

玄関はいつも嫌なにおいが漂う。けど、それも一瞬、人間の鼻はよくでき
ている。不快な信号を脳に送るのは最初だけ。

自動車の話を続けよう。

自動車は、ある意味便利だし、僕は助手席に乗ることもあれば、タクシ
ーを使うこともある。けど、国民全員が乗る必要はないんじゃないかな。
自動車に乗るということは、つまりは、人を傷つけたり、殺したりする可能
性を秘めるってことじゃないのかな。もちろん君の好きな温暖化の防止
にもつながる。

日本の1年間の自殺者の数と交通事故で死ぬ人の数は同じくらいだっ
ていう話を以前聞いたことはあるだろ。

自殺者が増えて、交通事故死が減っているとはいえ、相当な数字だ。
それにここでいう交通事故死っていうのは、事故にあってから24時間以
内に死に至った人の数をいうらしい。死に至る人は実際はもっと多いし、
重傷者も含めると・・・

とにかく、そういうリスクを僕は少しだけ抑えている。全地球的な見地か
ら。

エコなんだよ。それも直接的なエコさ。

しかもそれは、気持ちの問題なんだ。僕の個人的な。

100年後の心配よりも、今の僕の気持ちの問題なんだよ。

「あなたって、どうしようない人ね」

ああ、そうかもしれない。

どうしようもない人なんだ。

けど僕よりもどうしようもない人もたくさんいるし、僕よりマシなやつもたく
さんいる。

あなたの基準によっては、たぶん僕は"どうしようもない"方の嚢に入る
のだろう。

「もう一度言うけど、とりあえず、部屋に入ったら?こんなところにいたら
風邪をひくわよ、あなたがという意味で」

ありがとう。「風邪をひくわよ。」とか言う人は嫌いじゃないんだ。

それ以外にも嫌いじゃない言葉はいくつかある。

たとえば・・・

「平気?」
「大丈夫?」
「それ持つわよ」
「心配してたの?」
「会いたかったわ」
「もしよかったら食べる?」

・・・僕は部屋に入る。

コートを脱ぎ、スーツをハンガーにかけ、テレビをつける。

一通り番組をころがして、消す。

一日のうちで、テレビをつけるのは1回、消すのも1回。

すべての番組にコンマ5秒ずつ目を通す。

それに何の意味があるかって?

ラーメン屋で、注文した塩ラーメンに、
胡椒、ニンニク、生姜、辛みそ、酢。

とにかく目の前にある調味料をそれぞれコンマ5秒ずつ入れていく癖が
ある人間に、同じ質問をしてくれ。

意味あいは全然変わらないから。

そして、僕は電気を消す。

この家で生活の匂いがするのは、僕が家にいないときだけだ。


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