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【Dream Egg】第3話  「誰かの背中を押せる人」?

【Dream Egg】第3話  「誰かの背中を押せる人」?

~前回までのあらすじ~



高3の夏になり、受験へと向かう光平。

ある日、帰ると母親が入院いたことを知らされる。

母の事を心配心配しつつも、初めてのコンビニ弁当に心躍らせる。

その日の放課後、光平は母親の入院している病院に向かった。  







「どうぞ、どうぞ。母さんに言ってみんしゃい。」



母は体を起こした。

 

「相変わらず、元気あるね、ほんと病人じゃないみたい。



あのさ、実は俺まだ進路迷ってるんだ。



みんなとこのまま大学に行くことが



俺のやりたいことなのかなって。」

 

光平は母とは目を合わせず、窓の向こうを見ながら行った。

 



「そうだね、でも光平も18になったんだし、



色々私たちからはあれこれ口出しはしないよ。



ただ父さんと、母さんで光平に言いたいことは一つだけだよ。」

 

「何かあるの。俺に公務員目指せとか?」





光平は母に目を向けた。

 

 


「進路は光平が決めること。光平の人生なんだから。



ただ大人として、一人の人として光平には誰かの背中を



押せる人であってほしいということ。」

 



「それってどういうこと。なんかよくわからないんだけど。」

 



母は向きを変え窓を見つめた。優しい口調で話を進めた。





「簡単に言えば、人のためを思って行動してほしいってこと。



人は誰でも自分を優先したがるもの。



自分の欲しいもの、やりたいことを我慢して



相手のことを支えるなんて難しい。





誰かのために動くことは、母さんみたいに



余計なお世話も多くなる、自分を抑えなきゃいけないことも多く、



辛いことも多いでしょう。





それでもね、誰かの支えを必要としている人がいる。



何も特別なことをやれって言うんじゃないの。



光平が出来ることを精一杯やってほしい。





友達や人とのつながり、信頼はお金には変えられないことだと



母さんは思うから」

 

「うん、何となく言いたいことはわかる気がする。」





光平は何か思うように下を向いていた。

 




 



毎日が早く過ぎていく。



小学生の頃はあんなに長く感じていた1日が、



気づいてみればもう高校3年の秋だ。





光平は迷っていた。



自分の進路も家族や友達の大切さもわかってはいるものの、



心の中で走れていなかった。





母さんの入院は1ヶ月に伸びていた。



初めはおいしいと思っていたコンビニ弁当も次第に飽きていった。



一緒に食べている水島の弁当箱には、大きな卵焼きが入っている。

 

「また、うちの母さん、卵焼きでおかずのスペースとってるよ。



あと2品はここに入るだろうが。まったく、もう。」

 

愚痴をこぼしながら、大きい卵焼きをほおばっている。





「でかい、でかい。ボリューム満点だな」

 

水島の弁当だけでなく、クラスのみんなの弁当どれもが、



暖かさを放っていた。





コンビニ弁当は確かにおいしい。種類も多い。



でも何かが足りなかった。





みんなの持ってくる弁当には暖かさがあった。



作ってくれる人の表情、食べてくれる人の表情、



そこには人を支えてくれる力が確かにあった。

 

 


「なぁ、水島。俺があれだけ部活で走れたの、



母さんの弁当のおかげかもしれない。」

 

急に思い立ったように光平は口を開いた。





「まぁ、そりゃあ栄養はバッチリだからな。



でも光平は練習量とか、



ストレッチとかコツコツやったから、



メインはそっちじゃないの、否定はしないけどな」

 



「なんか、ふと思ちゃってさ。



なあ今日帰りにラーメン食べに行こうぜ。



先生の友達のトコ。」

 



「いいよ、でもいいのか?光平の母さん夕食作らないの」

 



「実は黙ってたけど母さん入院しててさ。



今日は父さんから500円もらって足りない分は



自分で出して、食べて来いって。」

 

 


「ふ~ん、そうか。大丈夫なのか光平の母さん?



俺も実は光平に話したいことがあるんだけど・・・



うん、今はいいや。後で話すよ。」

 

何かをいいかけたものの、その場の空気を感じた水島は話すことをやめた。

 






 

 


赤いのぼりに黒で店名が書かれている。



外装は黒で力を感じさせるものがあった。

 

「はい、いらっしゃい。何名さまで?」



 

「2名です。特製ラーメン大盛りでお願いします。」

 

2人はゆっくり話せるよう、座敷の席を選んだ。

「で、水島なんだよ。弁当の時間言ってたこと。



気になって授業集中できなかったぞ。」



怒っているというより早く聞きたくてしょうがない、



光平は口を走らせた。





水島は言いにくそうに話を始めた。


 

「悪い。実はさ、光平が早く帰っているときに、



俺はまだ自習してるじゃんか。



そしたら先生に呼び止められて、推薦入試やらないかって。



お前の自己アピールなら大丈夫だって。



もちろん小論文とかの練習もやらないとダメだけどな。



光平ゴメン。一緒に頑張ろうって言ったのに。



だから放課後とかもひとまずは推薦の勉強したいんだ。」

 

「別に俺に謝ることないだろ。



水島の進路なんだし。うん、わかったから。」

 

「もう一ついいたいことあるんだけど、いいか?



最近光平さ、集中力足りないよ。」

 

口を開いた水島は一気に光平に言った。

 



「何言ってんだよ、別に変わらないよ。



水島はいいよな、進むべき方向が決まってて。



推薦入試で決めちゃえよ。



そうすれば、一般入試なんか遊びだもんな。」

 

「なんか最近おかしいぞ、光平。



俺だって自分の成績と相談しながら決めたんだ。



光平だって今までだってコツコツやってきたんだ。



入試もなんとかなるよ。」

 

光平は顔を背けた。

 

「わかんないんだよ、自分の大事なもんとか、



やりたいこととか。俺のことほっとけよ。」

 





小学生の頃、早く大人になりたいと思っていた自分がいた。



中学生の頃は、25になったら何の仕事についてるだろうか。





夢を膨らませた。でも今は子供に戻りたかった。



日が暮れても母さんの夕飯の準備ができるまで、



何も考えずに遊んでいたあの頃に・・・





 

「はい、2人前おまちどうさま。ごゆっくり。」

 



出来立てのラーメンからは湯気が上がる。



2人の目の前の壁のように。



互いに顔を見合わせることなく2人は食べた。





今までにケンカは何度もあった。でも今回は何かが違っていた。





辺りのお客からはおいしいだの、スープが濃すぎるなどの談笑が聞こえる。

 

先に食べ終わったのは水島だった。

 

「ごちそうさまでした。」

 





光平はまだ食べていたが、先に水島は店を出た。



言えば気まずくなるとわかっていたものの、水島はありのままを伝えた。





でもやりきれない水島は道端に落ちていた空き缶を思いっきり蹴飛ばした。



中身の入っていないジュースの缶は勢いよくカランカランと転がった。

 

 


「俺のことなんか、何もわかっちゃいないくせに、水島のやつ。」

 

光平が1人になって食べていると、店長が話しかけてきた。

 

 


「ふ~ん、ケンカか懐かしいもんだ、



まるで俺の高校生時代を見ているようなもんだよ。」

 

「すいません。せっかく食べに来たのに、



変なとこ見せちゃって。」

 

光平は申し訳なさそうに言った。

 



「いや、別に構わないさ。でも早めに仲直りしときなよ、



ちょっと私の話をしてもいいかな?」

 

 

光平は食べ終えるとカウンターの席に向かった。



料理を作る厨房は熱気が込み上げていて、



その前のカウンター席へ何かを伝えてくるのであった。

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