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【Dream Egg】第2話  光平のわだかまり

【Dream Egg】第2話  光平のわだかまり

~前回までのあらすじ~



光平は高校3年生陸上部を引退し、クラスメイト水島と共に



受験生としての夏を過ごしていた。



光平は学校では水島と切磋琢磨しながら、



家では家族のサポートを受けながら受験勉強に励んでいた。




陽の長い夏を越えて、秋へと向かう。



お盆を過ぎれば、日に日に太陽が沈むのが早く



なってくるように誰もが感じる。



暑さもピークは過ぎ、夜は過ごしやすくマツムシの声も響いてきた。





「ただいま。今日も疲れた。」



光平は普段どおりに帰宅した。



しかしいつもと違う家の雰囲気を光平は感じ取った。



2階は明かりがついていなかった。





そして台所にいたのはいつもの母とは違い、父の後姿があった。



光平は変だなと思いつつ父に話しかけた。





「父さん、母さんはどこいったの?」





「あ、ああ、それが母さんちょっと過労で倒れて病院に行ったんだ。」





「ほんとに、大丈夫なの。携帯にメールかなんか連絡してよ。」





「とりあえず、2週間くらい病院で様子見るって検査も含めて。



母さん頑張りすぎてたんだよな」





いつも元気だった母が倒れたことで父は動揺していた。



しかし光平は心配と期待とで膨らんでいた。





「ふうーん、明日、病院行ってこよっと。



となると父さんも俺もコンビニ弁当だね、明日の昼ごはん。



朝行って買ってくるから。」




「ああ、任せたよ。」






部屋に戻った光平は、普段どおり勉強に取り組めなかった。





今まで健康な母が倒れることはなかった。



そして、中学から弁当がはじまって以来、



母は1日たりとも弁当作りを休むことはなかった。



どんなに疲れていても、母は早起きをして台所に立っていた。





しかし、光平は友達がコンビニから買ってくる弁当が



うらやましくもあった。明日はついにその日がやってくる。





母もちょっと休めばよくなるだろうし、



何より明日の昼ご飯が楽しみだった。





今日は早く寝ることにして、



明日早起きして勉強をしようと目覚ましをセットした。







「お、今日光平珍しくない?コンビニの昼食なんて。



残念だな、卵焼き期待してたのに」






びっくりした表情で水島が言う。





「ああ、ちょっと色々あってな。それにしても初めて食べたよ、



ツナマヨネーズに照り焼きチキンのおにぎり。



俺の母さん、こんな具は時間が経つと悪くなるからってしないんだよね。



おにぎりの具と言えばおかかと梅干、たまに鮭だし。



うんうん、おいしい。」






言葉と同様に光平からは満面の笑みがこぼれる。





「えーっ、でも光平の母さんの弁当ほんとにおいしいじゃん。



俺のうちなんか冷凍食品多いしさ。



いやぁ、光平の母さんの作る卵焼きなんか天下一品だよ。」






「ふーん、あ、今日自習、無理だわ。講習終わったら行くとこあるから。」





「さては、予備校の講習とか申し込んだりしちゃったんじゃないの。」





「そんなんじゃねえよ。ちょっとはずせない用事が出来ただけだよ。



それよりもいいのか、勉強の勝負負けっぱなしで。



今度は何おごってもらうかな。」






「これから、頑張って英語だけじゃなく、全部得意科目になるんだからよ。



雑草は踏みつぶされてもな、頑張って起き上がるんだ。



俺の雑草魂あとで、見せつけてやる。



そうと決まったら、午後1番の数学しないと。」






2人は弁当を食べ終えると、光平は講義室に、



水島は質問をしに職員室へと向かった。





光平は久しぶりに学校を早く出た。



いつもは講習のため、朝は早く、夜は



7時を過ぎるために外は暗くなっている。





今は4時を過ぎ、夏の日差しに比べて



秋の夕日は自分の影を大きく見せる。





光平にとって病院は久しぶりだった。



コンタクトのために眼科など行くことはあっても、



総合病院に行くことはなかった。





病院に入ると光平は独特の空気を感じた。



病院の空気は決していい香りはただよっていない。



どこか落ち着きをなくし、それぞれの居場所を求め、



至るところではぐれているようでもある。





母さんの病室は401号室。



検査があるため個室にしてある。





母さんは賑やかな人だから、きっと大部屋が良かっただろう、



そんな思いをいだき、階段を1段飛ばしで光平は病室に向かう。





「いらっしゃい。今日の弁当はどうしたの?」





「お、意外に元気そうじゃん。会ってすぐその話?



父さんも俺もコンビニ弁当だよ。」




「そう、しっかりバランスよく食べるんだよ。」



「はいはい。プラスよく噛んで食べるでしょ。耳にたこが出来たよ。」





病院でありながらも2人は、自宅の雰囲気と変わらずに話をした。





「なんかここ来て相談って言うのもおかしいとは思うんだけど、



ゆっくり出来るしさ。聞いてほしいことがあるんだよね。」






立っていた光平はイスに腰を下ろした。



夕日が窓から射し込み、2つの影は壁に向き合った。

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